ささきりか司法書士事務所

相続放棄の期限を過ぎたらどうなる?第1順位の相続人が相続放棄後に兄弟へ負債請求が届いた事例(80代女性Dさん)

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相続放棄の期限を過ぎたらどうなる?第1順位の相続人が相続放棄後に兄弟へ負債請求が届いた事例(80代女性Dさん)

相続放棄の期限を過ぎたらどうなる?第1順位の相続人が相続放棄後に兄弟へ負債請求が届いた事例(80代女性Dさん)

2026/06/01

相談内容

「私には二つ年上の兄がいました。

  兄は20年ほど前に離婚をし、前妻との間に子供が二人います。

 離婚直後から、兄は借金を繰り返すようになり、返済に困るたびに私に「お金を貸してほしい」と連絡をしてくるようになりました。

 私が兄に貸したお金は合計40万円になりますが、1円も返してもらっていません。

 兄と連絡を取ると必ずお金の無心があることがわかっていたので、私は10年ほど前から兄からの電話には出ないようにし、連絡を一切絶っていました。

その兄が、9か月ほど前に亡くなりました。

 その約2か月後(今から約7か月前)、二人の甥(兄の子)から、兄には約30万円の借金があること、そして甥二人が相続放棄をしたことを知らされました。

 さらにその約4か月後(今から3か月ほど前)、ある貸金業者から私あてに督促状が届きました。

兄が借り入れをした会社からで、兄の借金を私が代わって返済するように求める内容でした。

なぜ私のところに督促状が届くのか、

なぜ兄の借金を、今になって私が返さなければならないのか、

理由がわからず、そのまま放置してしまいました。

 すると、つい2週間ほど前、簡易裁判所から『訴状』が届きました。

 貸金業者が私を相手に訴えを提起したようで、あまりのことに呆然としました。

 被告欄には私の名前が記載されており、

『どうしてこんなことになっているの・・・』

と、大きなショックを受けました。」

状況の整理

まず、Dさんの不安なお気持ちに寄り添いながら、これまでの経緯を丁寧に伺いました。

そのうえで、Dさんが抱えている疑問について、次のように整理してご説明しました。

 

1 Dさんが相続人となった理由について

Dさんの兄(Iさん)には二人の子ども(Dさんの甥)がいますが、甥二人はすでに相続放棄をしています。

また、Iさん・Dさんの父母は既に亡くなっています。

民法上の相続人の順位は次のとおりです。

・第一順位:子

・第二順位:父母

・第三順位:兄弟姉妹

なお、配偶者がいれば、その者は常に相続人となります。

Iさんには配偶者がなく、第一順位の『子』が相続放棄をし、第二順位の『父・母』がすでに死亡しているため、第三順位のDさんが相続人となります。

 

2 貸金業者がDさんに請求してきた理由について

貸金業者は、貸付けた相手が死亡すると、戸籍をたどって相続人を調査します。

その結果、唯一の相続人がDさんであることを突き止め、『Iさんの借金を相続した者』として返済を請求をしてきたという流れになります。

Dさんの疑問

相続放棄をすれば、私は兄の借金は返さなくても良いのではないでしょうか。

その手続きはどのようにすればよいですか。

Dさんは相続放棄をすることができるのか

相続放棄は、原則として、相続人が『自己のために相続の開始があったことを知ったとき』から3か月以内にする必要があります。

Dさんの場合、甥二人が相続放棄をしたことを知った時点で、『自己のために相続の開始があったことを知った』といえます。

その際、Iさんの相続財産に借金が含まれることも把握していました。

ご相談をいただいた時点で、Dさんは『自己のために相続の開始があったことを知った時』からすでに6か月以上が経過しており、原則、相続放棄をすることはできません。

また、Dさんは、

・相続放棄をしなければ兄の借金を相続すること

・自分が返済義務を負うこと

を、知りませんでした。

しかし、法律上のルールを『知らなかった』という理由だけでは、で返済義務を免れることはできません。

Dさんの事情

 「私は年金生活をしており、預金もありません。30万円もの大金一度に返済することはできません。借金の返済に充てられるような財産もありません。

 

裁判所から届いた書類の中に『答弁書』があり、私の言い分を記載して提出するようにと書かれていましたが、どのように書けばよいのか全くわかりません。

また、期日の指定があり、裁判所に出頭するようにと書かれていますが、あまりにも怖くて、とても行ける気がしません。」

 

アドバイス

まず、Dさんには、訴状を放置すると欠席裁判となり、貸金業者の請求が全面的に認められることとなるため、必ず答弁書の提出するか、または期日に裁判所へ出廷する必要があることをお伝えしました。

Dさん自身でこれらの対応が難しい場合、専門家の関与が必要であると考え、法テラス(民事扶助制度)の利用可能性を検討しました。

法テラスの利用が可能であれば、専門家報酬は低額に設定され、その他の実費も含めた費用を法テラスが立替払いします。利用者は事件終了後、月額5,000円~1万円の分割払いで立替金を返済することになります。

 

しかし、Dさんの場合、月額収入が20万円あり、法テラスの収入要件を満たさずこれを利用できない状況でした。

そこで、当事務所にご依頼いただく場合は分割払いに対応できること、その他にも分割払いに応じてくれる司法書士事務所があることをお伝えしました。

そのうえで、今後の見通しとして、裁判外で司法書士がDさんの代理人として貸金業者と交渉し、将来利息のカットや分割払いによる和解を目指す余地があることをお伝えしました。

仮に裁判外の和解が整わない場合も、裁判所はDさんの収入・資産状況などを考慮し、

『判決』で、

・支払猶予または分割払いの定めをし、

・予定通りの返済ができれば訴訟提起後の利息をカットする旨の定めが付される

可能性があることをお伝えしました。

 

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