遺言がないと何が起きる?(その3)~事実婚のケース・婚外子が発覚のケース~
2026/07/09
我が家の孫娘、最愛のちーぬちゃんには、弟と妹がいます。
キジ白5歳の男の子『おはぎ』と、キジトラ3歳の女の子『ぴぴ』です。
『おはぎ』は、生後2か月のときに保護されました。
その後、いろんなお家を転々とした後、ちーぬちゃん家にやって来ました。
保護されるときに、よほど怖い思いをしたのでしょう。5歳になった今でも、慣れない人が家に来ると、スタスタスタッと押し入れの中へ避難し、さらに布団と布団の間の誰にも見つからない場所に身をひそめ、ガタガタ震えています。
おはぎはどうしようもないビビり―猫ですが、私はそんなおはぎが本当に愛らしいと感じます。
『相続』の場面でも、おはぎのように、見えないところで震えている方がいるかもしれません。家族の前ではストレートに思いを伝えられない方も多いことでしょう。
私は専門家として、そのような方の『声にならない声』にこそ、丁寧にも耳を傾けたいと思います。
今回は前回に続き、
『遺言がないと何が起きるのか』
をテーマにお話しします。
2.事実婚・内縁関係・同姓パートナーは相続できない
事実婚・内縁関係・同姓パートナーの一方が亡くなり、相続が開始した場合、もう一方のパートナーがどれだけ献身的に尽くしてきたとしても、法律上、『相続人でない者(=他人)』として扱われ、被相続人の財産を承継することはできません。
法律上の婚姻関係と実質的に変わらない生活を継続してきたとしても、法律上の婚姻関係でない以上、相続権は一切認められない、というのが現行法の立場です。
例えば、被相続人に子がなく、父母もすでに死亡しており、生前の療養介護のすべてを事実婚のパートナーが担っていたとしても、法律婚でなければ、そのパートナーは相続人とは認められません。
その結果、被相続人の遺産はすべて兄弟姉妹に承継され、パートナーには1円の財産も承継されないのです。
このような不都合を未然に防ぐためには、遺言書の作成が必須です。
遺言によって、
・パートナーに財産を遺贈する
・パートナーが自宅に住み続けられるように配慮する
・生前の貢献に報いる
といった意思を明確にしておくことで、法律婚でない者に生じる『相続の格差』を埋めることできます。。
3.前婚の子、婚姻外で認知した子の存在が発覚した場合
相続が開始し、戸籍を確認した際、初めて被相続人に前婚の子や婚姻外で認知した子がいることが判明し、相続人が大きな混乱に陥るケースは少なくありません。
被相続人が生前にその事実を家族に伝えていなかった場合、残された家族は
・驚きや戸惑い
・被相続人に対する不信感
・新たに現れた相続人に対する感情的な対立
といった複雑な思いを抱えることになります。
しかし、このような場合でも、遺言にその事実が明記されており、付言事項としてそれぞれの相続人への思いが丁寧に記されていれば、相続人間の混乱や感情的対立を最小限に抑えることが期待できます。
遺言書には、
・前婚の子や認知した子の存在を明確にする
・その子にどのような財産を引き継がせたいのか
・なぜ、そのような判断をしたのか
・残される家族への配慮や感謝の気持ち
など、被相続人の思いを、『付言事項』という形で遺すことができます。
『付言事項』には法律的な効力はありません。しかし、相続人の感情を和らげ、紛争を防ぐうえで、非常に大きな役割を果たします。
思いもしない事実が明らかになったとき、
「なぜ父(母)は何も言わなかったのか」
という深い疑問が相続人の心に芽生えることは当然のことです。
遺言は、その『答え』を遺し、遺される家族の心を和らげることができる、唯一の手段と言えるかもしれません。
次回は、『遺言の作成に積極的な人と消極的な人』をテーマにお話をしたいと思います。
遺言に向き合う姿勢の違いには、実はそれぞれ深い理由があります。その背景について触れてみたいと思います。
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