相続登記の義務化|2024年開始の制度と注意点をわかりやすく解説【第2回】
2026/07/02
今年の6月もまもなく終わりを迎えようとしています。
昨年は梅雨らしい時期を過ごすことなく、突然の猛暑に突入しましたが、今年は、梅雨らしい雨に恵まれて過ごすことが出来ました。
皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。
【なぜ自分で相続登記をするとつまづくのか】
1 法務局の相談窓口はパンク寸前
相続登記の義務化が始まったことにより、全国の法務局では相談件数が急増しています。
「専門家に頼らず自分で申請しよう」と、法務局のほか、区役所や司法書士会などの無料相談を利用される方が非常に多く見受けられます。
しかし、相続登記を経験する機会は、人生の中で多くて1~2回です。
慣れない手続きを進めるうえで頼りにできるのは、やはり法務局の相談窓口です。
① 相続登記の義務化により『3年以内の申請』が必要に
相続登記は原則として、相続開始の時から3年以内申請することが義務化されました。
さらに、2024年4月1日より前に開始した相続については、義務化が開始された2024年4月1日から起算して3年以内(=2027年3月1日まで)に申請する必要があります。
何十年も前に開始した相続による相続登記を期限に間に合わせるように、自分で申請しようと考える方が2026年度に入る頃から急増し、法務局の相談窓口は連日混雑しています。
② 相談殺到・補正対応の影響で、他の登記にも遅れが発生
相談件数の急増に加え、不備のある登記申請の補正対応の増加により、法務局の事務が全体的に圧迫されています。
その影響で
・売買による名義変更、
・住宅ローン完済による抵当権抹消
などの登記も、1年前であれば1~2週間で完了していたものが、今年度(2026年度)に入るころから、登記申請から完了までに1か月半くらいかかるようになりました。
相続登記の義務化による相談・申請の集中は、全国の法務局を『パンク寸前』の状態に追い込んでいると言えます。
2 自分で登記申請をする場合につまづきやすいポイント
実際に多くの方のご相談を受けていると、つまづきやすい点は以下の6点に絞られます。
⑴ 最初の一歩・相談でのつまづき
相続登記の義務化により、法務局の相談窓口は全国的に混雑しています。
『自分で申請しよう』と法務局や区役所、司法書士会の無料相談を利用しても、次の理由で、最初の一歩からつまずいてしまうケースが非常に多いのです。、
・無料相談の予約が取りづらい
・相談時間が限られていて、十分な説明を受けることが出来ない。
・申請書の詳細な書き方までは教えてもらえない
・相談に行ったものの、結局よくわからないまま帰ることになる
このように、無料相談だけで手続きを解決することは、想像以上に難しいのです。
⑵ 戸籍の収集
相続登記をはじめとする遺産承継手続きの第一歩は、相続人を確定することです。
そのためには、被相続人の戸籍を正確にそろえる必要があります。
相続人は、すべて戸籍から特定します。
実際の血縁関係の有無ではなく、戸籍を解読した結果、『子』、『親』、『兄弟姉妹』であることが読み取れる場合に、相続人とされます。
① 相続登記で必ず必要となるのが、被相続人の『出生から死亡までのすべての戸籍』です。
② 相続人に子がいない場合は複雑に…
被相続人に子がいない場合、相続人は父母(または祖父母)となります。
被相続人が『養子』となる養子縁組をしている場合、養親も相続人となります。
この場合、被相続人と父母(養親)との親子(養親子)関係を示す戸籍が必要となります。
③ 兄弟姉妹が相続人となる場合はさらに手間が増える
被相続人の父母がすでに亡くなっており、兄弟姉妹が相続人となる場合、父及び母の出生から死亡までのすべての戸籍が必要となります。
場合によっては明治・大正時代の除籍まで遡る必要があります。
場合によっては、震災・戦災によって戸籍が消失しているケースもあり得ます。
④ 兄弟姉妹の中に既に亡くなっている方がいる場合
その方の出生から死亡までのすべての戸籍が必要となります。
⑤ 戸籍の広域交付制度の限界
2024年3月1日から『戸籍の広域交付制度』がスタートし、配偶者及び直系血族の戸籍は、最寄りの市区町村の窓口で手軽に取得できるようになりました。
しかし、この制度には限界があり、
・兄弟姉妹
・叔父・叔母
の戸籍は、対象外です。
被相続人である兄弟姉妹、叔父・叔母の戸籍を取得するためには、被相続人(兄弟姉妹等)の死亡時の本籍が存する市区町村に対し、
・自分が相続人であること
・相続登記に必要であること
を主張・立証したうえで、戸籍の交付請求をする必要があります。
具体的には、被相続人の親の世代まで戸籍を遡って取得し、そこから被相続人がどの戸籍に移転したかを突き止める作業が必要となります。
今回は少し長くなりましたので、続きは次回、ご紹介します。
相続人の確定や不動産調査など、実務でつまづきやすい部分を分かりやすくお伝えしていきます。
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