相続法改正のポイントと相続手続きへの実務的影響を詳しく解説
2026/10/17
近年の相続法改正では、配偶者居住権、自筆証書遺言保管制度、預貯金払戻し制度、特別寄与料制度など、相続実務に直結する仕組みが次々と導入されています。
これらの制度は、遺産の分配方法や、相続人でない親族の貢献をどのように評価するかといった点に影響し、相続手続きは従来より複雑さを増しています。
本記事では、相続法改正の全体像から各制度のポイント、実務上の注意点までを整理し、専門家の視点から解説します。
目次
相続法改正で何が変わるのか全解説
相続法改正の概要
2018年の民法改正(相続法分野)は約40年ぶりとなる大規模な見直しでした。配偶者の居住権保護や、親族の貢献を遺産分割に反映するための制度が整備され、現代の家族構成や社会状況に即した相続制度へと大きく前進しました。
相続法改正の内容
相続法の改正では、相続実務に直結する以下の制度が新設・見直し去れています。
①配偶者居住権(2020年施行)
被相続人の死亡後も配偶者が自宅に無償で住み続けられる仕組み。
②預貯金払戻し制度(2019年施行)
遺産分割協議前でも、相続人が単独で一定額を引き出せる制度。
③自筆証書遺言の方式緩和(2019年施行)・保管制度(2020年施行)
財産目録の自書不要となり、パソコン作成による目録や通帳コピーの添付が認められ、遺言の作成が容易になった。
④自筆証書遺言の法務局保管制度(2020年施行)
法務局での自筆証書遺言の保管制度が開始され、遺言の利用が促進。
⑤遺留分制度の見直し(2019年施行)
遺留分を侵害された場合の救済が「金銭請求のみ」に一本化され、現物返還(遺留分減殺請求)が廃止。
⑥特別寄与料制度(2019年施行)
長男の妻など相続人でない親族が介護などの貢献をした場合に、金銭請求できる仕組みが整備。
配偶者居住権の新設と相続時の注意点
相続法改正によって新設された配偶者居住権は、長年連れ添った配偶者が自宅に安心して住み続けられるようにするための制度です。被相続人が亡くなった後も、配偶者が自宅に無償で居住できる点が大きな特徴です。
法改正前は、配偶者が自宅の全部を相続するか、他の相続人と遺産分割で争う必要がありました。改正により『居住権』と『所有権』を分離して定めることが可能となり、遺産分割協議がまとまらない場合でも、配偶者が住み慣れた家を離れざるを得ない状況が改善されました。
一方で、配偶者居住権の設定には、権利の評価や登記、他の相続人との調整が必要となります。評価額は遺産分割や税務にも影響するため、専門的な判断が求められます。登記をしなければ第三者に対抗できない点も注意が必要です。
配偶者居住権は原則として配偶者が亡くなるまで有効ですが、権利の設定には、被相続人による配偶者居住権の遺贈または相続人全員の合意が必要です。遺言の内容や遺産分割協議の状況によっては権利行使が難しくなる場合もあるため、早めの対策が重要でです。
